独自の粗大ゴミ

一〇〇〇万人という数字は、政府の公的な機関によって認定された人数にもとづいて推計されたものですから、じっさいには、環境難民の人数はずっと多いのではないかと考えられています。
二五〇〇万人の環境難民がすでに出ていると推計する人もいるほどです。
政治、宗教、人種などという環境以外の原因にもとづく難民の人数は、現在世界全体で一七○○万人と推計されています。
環境難民の問題がいかに深刻であるかはこの数字の比較からもわかると思います。
しかも、環境難民はすべて発展途上諸国でおきていて、その半分以上はアフリカのサハラ地域に集中しています。
バングラディッシュ地球温暖化によってもっとも大きな被害をこうむる国はバングラディッシュです。
バングラディッシュのGNP(国民総生産)は、一人当たり二万円、世界でもっとも貧しい国の一つです。
二〇五〇年には、バングラディッシュの人口は現在の二倍、約二億二〇〇〇万人になると予想されています。
バングラディッシュは、ベンガル湾に面して、国土の大部分が低地にあり、もともとサイクロンの多発地帯です。
しかし、一九八〇年代から九〇年代にかけて、サイクロンの頻度がふえ、これまで経験しなかったようなつよいサイクロンにも襲われるようになりました。
たとえば、一九九一年四月バングラディッシュを襲ったサイクロンによって、じつに国土の三分の一が海面下に水没し、数百万に上る人々が住居を失い、二〇万人の死者が出たといわれています。
地球温暖化の影響は、ベンガル湾に面したバングラディッシュの中心部だけでなく、後背地ヒマラヤでおこると予想される気象条件の変化をうけて、国土全体に、場合によっては致命的な打撃を与えかねないと危惧されています。
ヒマラヤから三つの河川が流れ出ていますが、その水量を合わせると、アマゾン河についで、世界で二番目の大きさをもっています。
アメリカ最大のミシシッピー河の二・五倍の水量です。
地球温暖化によって、その水量は現在より五〇あるため、直接管理することができません。
地球温暖化によってバングラディッシュの農業は大きな被害をうけると予想されています。
とくに海水面の上昇による塩害によってバングラディッシュの水田が多く失われてしまうのではないかといわれています。
現在でも、モンスーンの季節には、海水が河口から上流一五〇キロメートルに上って、水田を中心とした農業に大きな被害を与え、上水道の供給施設も使えなくなっています。
アメリカの経済学者のなかには、地球温暖化の被害は、防潮堤をつくって、沿岸部をまもれば、かんたんに解決できると主張する人が少なからずいます。
バングラディッシュの学者が、地球温暖化による自然災害を防ぐためにどれだけ工事費が必要かを計算したところ、ベンガル湾の沿岸部だけに限定して、どんなに少なめに見積もっても年間一〇〇億ドルを下らないという結果がでました。
バングラディッシュのGNPは現在二四〇億ドル程度ですから、いかに大きな負担となるかがわかるでしょう。
これだけの費用をつかっても、内陸部の河川氾濫での被害や、沿岸部で新しくできると予想される人口密集地での被害を防ぐことができないのです。
中国地球温暖化による海水面の上昇によって直接影響をうけるのは沿岸地域です。
中国の沿岸地域は、一万六〇〇〇平方キロメートルの面積をもち、日本の国土面積のほぼ三分の一です。
八〇〇〇万人近い人々が住み、人口密度はバングラディッシュの二倍ですが、中国のGNPの四分の一を生産しています。
その大部分は海水面からの高さが一メートル以下です。
中国の沿岸地域のうち、もっとも人口が密集しているのは上海地域です。
上海地域はもともと地盤沈下のはげしいところです。
一九二〇年代から沈下をはじめ、現在までにすでに三メートル近く、二一○○年までにはさらに一メートル沈下すると考えられています。
もし海水面の上昇が、IPCCの報告通りおこるとすれば、二一○○年には上海全体が海面下に水没してしまうと予想されています。
定住地を失う人々の数は、現在の人口だけに限定してもて一〇〇万人をこえると推計されています。
中国全体についてみれば、地球温暖化によって、三〇〇〇万の人々が定住地を失い、また、沿岸地域での台風などによる被害を合わせると、地球温暖化によって影響を受ける人々の数は一億人をこえると推計されています。
インドインドの沿岸地域の人口は現在一億八〇〇〇万人です。
地球温暖化が、IPCCの予測通りのかたちでおこるとすれば、二言万平方キロメートルにおよぶ地域が失われ、八〇〇〇万人に上る人々が定住地を失うと考えられています。
インドの全人口は現在九億人ですが二〇五〇年には二八億人にふえると予想されています。
この人口増加を計算に入れると、地球温暖化の影響を受ける人々は沿岸地域だけで一億四〇〇〇万人に上ると考えられています。
そのほかに、河川の氾濫によって被害をうける人々の数も多く、インド全体では、地球温暖化によって発生する環境難民は二億人に近づくと推計されています。
エジプト地球温暖化の影響は、アスワンハイダムの建設によって、いっそう深刻なものとなっています。
IPCCの予測によると、二〇五〇年にはエジプト沿岸の海水面の上昇は八〇センチメートル近くになると考えられています。
エジプトの全農地の一五%が消滅し、八〇〇万の人々が定住地を失って、環境難民となると推計されています。
二〇五〇年には、エジプトの人口は一億人をこえると予想されていますから、環境難民は一〇〇〇万人をはるかに上回ると考えられています。
地球温暖化によって、多数の環境難民がでてくると予想される国々はほかに数多く存在します。
とくにインドネシア、タイ、パキスタン、さらに太平洋に点在する島嶼国家について深刻です。
地球温暖化の主な原因は化石燃料の燃焼にあることは、これまでたびたび強調してきました。
化石燃料は、現代の社会がうまく機能するために不可欠なものとなっています。
世界全体で、一年間に六〇億トン近くの二酸化炭素が化石燃料の燃焼によって大気中に放出されていると推計されています。
この推計にはかなりの誤差が含まれていますが、大体の見当をつけるのには役立つように思われます。
一人当たりの二酸化炭素の排出量がもっとも大きい国はアメリカで、五・八トンも出しています。
ついで、東ドイツ五・三トン、カナダ五・一トン、ソ連三・九トン、ポーランド三・三トンとならびます。
アメリカが世界一の化石燃料浪費国だということはよく知られていますが、社会主義国だったソ連や東ドイツが大変な浪費国だったということは意外に思われるのではないでしょうか。
つづいて、西ドイツ三・三トン、イギリス三・〇トン、日本二・三トン、イタリアニ・○トンとならびます。
日本が少ないのは、一九七三年の極的にとられたためです。
中国〇・五トン、インド〇・ニトンは、アメリカ、カナダに比べて極端に小さい量ですが、発展途上諸国はおおむねこの程度の排出量です。
アメリカでの一人当たりの二酸化炭素排出量は、インドの三〇倍になります。
これは、先進工業諸国と発展途上諸国の間の経済的格差がいかに大きいかをあらわしています。
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